行雲流水の如く

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高分子吸収体(吸水ポリマー)

 自分の勤務先である科学館も、現在非常事態宣言を受けて休館中のため、基本は在宅勤務という形になっている。在宅勤務の日は実験内容を再検討したり説明用資料を作成したりして過ごしているのだが、今回は、その中で「高分子吸収体(吸水ポリマー)」というものについて、簡単に紹介したい。「高分子吸収対(吸水ポリマー)」と言っても、ぴんと来ない方もいるかもしれないが、要するにこれである。

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紙オムツと保冷剤

 高分子吸収体(吸水ポリマー)は、1980年頃に開発された高吸水樹脂のことで、自重の数百倍から1000倍の水を吸収し、多少圧力をかけても吸った水を離さないという特徴をもっている。試しに、上記写真のペット用の紙オムツやペットシーをよく調べてみると、粒状の吸収ポリマーが含まれており、この部分だけを切り取って水をかけると、吸水している様子が観察できる。

 今回は、実験の一環として「保冷剤」の再利用について、取り上げてみることにした。「保冷剤」はスーパーやケーキ屋などで気軽に手に入るので、恐らく、どこのご家庭でも冷凍庫の中に眠っているのではないだろうか?

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 これは、常温にもどした保冷剤の中身(ゼリー状になっている)を取り出して、絵の具で着色したものをである。作り方はいたって簡単で、小さめの保冷剤の中身を皿などに取り出し、そこにほんのわずか絵の具で色付けして、よく混ぜ合わせていく。この時、絵の具の量を多くしすぎない事がポイントで、この写真の場合は、耳かき1杯程度の絵の具しか使っていない。

 今回は、何も色付けをしていない無色のもの、うすいオレンジ、うすい黄色をそれぞれ別に作って、順に重ねて行った。

 その他、アレンジとしてアロマオイル(100均で買える!)を入れれば芳香剤の代わりになるし、写真のようにミニ観葉植物を植えれば、インテリアにもなる。

 ただし、保冷剤を処分する時は、ビニル袋等に入れてゴミとして処理する。うっかり流しに流してしまうと、つまりの原因になる事がある。


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 これは、三角フラスコに着色していない無色の高分子吸収体(吸水ポリマー)を8分目ほど入れて、色が変化するLEDライトを乗せたもの。このLEDライトは100均で購入したものである。中には、ビー玉を10個ほど入れてみた。日中でもある程度きれいだが、部屋を暗くするとビックリするほどの色の変化を楽しめる。

 高分子吸収体(吸収ポリマー)は、その他にも、女性の生理用品に使われたり、スーパーで肉や魚の下にシートとして入れる事で水分が出るのを防いだり、土にまぜておくことで砂漠化を防いだりなど、多方面で利用されている。また、今回紹介した保冷剤は、湯煎することで保温材としても利用することもできる。このように、様々な活用法が考えられるので、ぜひおすすめしたい。

 以上、実験内容の一部紹介でした!


「砂に消えた涙 、Un Buco Nella Sabbia」ミーナ、Mina