「男はつらいよ」の第1作が1969年に公開されてから50年目を迎えることを記念して、「男はつらいよ お帰り寅さん」が12月に封切られる。もちろん、寅さん役の渥美清は20年ほど前に亡くなっているが、「新撮された登場人物たちの”今“を描く映像と、4Kデジタル修復されて蘇る寅さんのシリーズ映像が見事に紡ぎ合う、新たなる『男はつらいよ』が描かれる。」との事だ。(「男はつらいよ50 お帰り寅さん」公式サイトより)
ところで、「男はつらいよ」シリーズの登場人物の中でも、後期の作品において重要な役割を果たす事になる、甥っ子で高校生の満男と寅さんのやりとりにこんなセリフがある。
満男 「人間てさ」
寅 「人間がどうした?」
満男 「人間はなんのために生きてんのかな?」
寅 「難しいことを聞くな、お前は。・・・何と言う
かな、あー生まれて来て良かったーそう思う事
が何べんかあるだろう。そのために生きてんじ
ゃねえか?」 ㊴『寅次郎物語』
高校生の満男ではないが、「何のために生きているんですか?」「今、幸せですか?」と問われたら、あなたは何と答えますかね?(宗教団体の勧誘みたい💦)
あなたA 「う~ん、あんまり考えたことないけど、ま
あそこそこ幸せなんじゃない?」
あなたB 「だめ、今日の麻雀、全然ついてなくて大負
け!だから、不幸せ!」
あなたC 「私たち、結婚しましたー!幸せー」
・・・・・きっと、答えはみんな違うのだろうね。
少し硬い話になるが、国連の最新の世界幸福度ランキングで日本は、58位だそうだ。この調査は、所得、自由、信頼、一人当たりの国内総生産(GDP)、健康と寿命などの調査項目に対して、0~10のスコアをつけ、それらを総合し順位をつけるというものである。(調査人数各1,000人)アンケートの集計の仕方には、色々意見もあるようだが、いずれにしても「幸せかどうか」という極めて個人的なものを、いくつかの「観点」から評価しようという試みらしい。
実は、わが国でも今年初めて同様の調査を行っている。「満足度・生活の質に関する調査」というもので、15~89歳の男女約1万人を対象に行ったそうだ。
調査項目は国連のものとは異なるが、いくつかの観点を決めてその満足度を調べるという点では同種のものである。この調査によると、「今の生活全体への満足」に最も寄与しているのは、「生活の楽しさ・面白さ」であり、趣味や生きがいがある人ほど生活に「楽しさ・面白さ」を見出しているとの事。
このような調査で、本当に「幸せ」が図れるものなのかどうかは不明だが、寅さんはこんな事も言っている。
寅「出身大学、勤め先、財産、そういうもの一切ない」
㊼『拝啓車寅次郎様』
近藤「聞きますけどあなたには目標がないんですか」
寅 「ない、ない、全然ない」
㉙『寅次郎あじさいの恋』
<寅次郎とポン州(関敬六)、うまそうに握り飯を食べている。>
ポン州「うめえなあ」
寅 「生きてるってことはいいことよ。なあ、ポン州」
㉟『寅次郎恋愛塾』
寅 「さて、今夜はおひらきにするか。ごちそうさん」
つね 「お粗末さま」
寅 「こうやって暖かく迎えてくれる家があるんだも
のなあ、俺なんか幸せもんだよ-。
おいちゃん、おさきに」
㉗『浪花の恋の寅次郎』
先ほども書いたが、「幸せ」とは極めて個人的、主観的なものである。お金や財産を持つことを幸せと感じる人もいるだろうし、社会的に高い地位についたり、人から尊敬されたりすることを大事にする人もいるだろう。
でも、ひょっとしたら、幸せは毎日の自分の生活の、あちらこちらに転がっているのかも知れない。
太陽の暖かさ、心地よい風、おだやかな午後、お気に入りのソファー、大好きな音楽、
友だちとの会話、孫の世話、上手いピザの店・・・・・
日常の何でもないような事にも、小さな喜びを感じ取れたら、もっと素敵な生活が送れるかもね。
*寅さんの言葉は、次の本から引用させていただきました。
へたな人生論より「寅さんのひと言」 吉村英夫
今日はこんな曲を!
Tie A Yellow Ribbon Round The Ole Oak Tree (幸せの黄色いリボン) / DAWN