行雲流水の如く

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報道力

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   波乱含みの「東京オリンピック2020」が開幕して、ほぼ1週間になる。水泳、卓球、スケートボード、柔道、女子ソフトボール、体操など、連日日本人の活躍が報じられる反面、東京及び周辺の地域ではコロナ感染者数が過去最高となる等、前例のない不安な状況が続いている。

 自分は、ここで開催の可否を述べるつもりはないが、新聞の「報道力」というものについて少しふれてみたい。

 

 5月25日の朝刊で、朝日新聞東京五輪の中止を首相に求める社説を掲載した。その内容は、五輪によって国民の生命・健康が脅かされる事はあってはならないというもので、その背景には来日する選手と関係者約9万人によって海外からウイルスを持ち込み、それが拡散していく可能性があるという。

 実際、報道の時点で「無観客」は決定しておらず、医療体制や安全確保の具体策が国民に見えにくい状況があって、このような得体の知れない不安が国民の間に生まれるのはやむを得ないものがある。生命の危機が迫ってくるかも知れない状況の中で、ただ「安全安心なオリンピックを目指します。」と言われても、それを盲目的に信じるのは無理がある。

 この朝日新聞の社説の内容については、その他のオリンピック開催に反対する意見を象徴しているような部分があって、多くの著名人や各種アンケートの結果にも影響しているように思える。

 

 しかしながら、この社説には国民の不安を代弁し、それを是正しようとする報道本来の「正」の部分と、結果的には、オリンピックが、国民の不安を解消するだけの十分な説明と施策が講じられないままに開催されている事で、不安と苛立ちをさらに増長させてしまうという、言わば双刃の剣のような「負」の部分を生んでいないだろうか?

 誰が悪いという事ではないが、新聞の影響力=報道力の大きさと言うものを考えさせられる。

 

 ちなみに、7月28日付の産経新聞が「社説検証」という事で、新聞各社の社説を取り上げていたので紹介したい。

 【朝日】 分断と不信、漂流する祭典(23日付)

 【毎日】 五輪の理念踏みにじった(23日付)、大会の理念問い直す場に(24日付)

 【読売】 コロナ禍に希望と力届けたい/安全な大会への万全の感染対策を(23日付)

 【日経】 東京での開催を五輪再生の出発点に(23日付)

 【産経】 明日につながる熱戦望む/歴史的大会への悪い流れを断て(23日付)

 それぞれの新聞社の主張の違いが読み取れるようで、興味深い。

 

 新型コロナウィルスの第5波のピークは、これから迎える事になりそうだ。それほど、デルタ株の威力は凄まじいものがあるのだろう。

 我々は、ワクチン接種とマスク・手洗い・3密の回避しか対抗手段を持っていないが、オリンピックの選手たちの熱い闘いとその姿勢が、唯一「希望」という「心のワクチン」になっていくことを期待したい。

 

<マイ ギャラリー>

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寺院組物

Somewhere Over the Rainbow  by Israel kamakawiwo'Ole


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