行雲流水の如く

-Re-Start From 65 Years Old-

顔を洗う

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 朝、起きたら顔を洗う。物心ついた時から、毎朝繰り返し行ってきた習慣の一つだ。まだ眠気がさめず、頭がもうろうとしている時でも、顔を洗う事で、目が覚めさっぱりとした気持ちになるものである。

 今でこそ、寒い朝でも蛇口をひねれば温かいお湯が出るが、子どもの頃は冷たい水しかなかった。そこで、夜の内にふとんの中を温めてくれた「湯たんぽ」のお湯を洗面器に入れて、洗っていた記憶がある。

 実は、こんな当たり前の行動にも歴史や背景があるという事を最近知った。

 洗面については、道元禅師の記した『正法眼蔵(しょうほうげんぞう)』という書物の中に「洗面」についての記載がある事から、鎌倉時代以降に僧から広まったと想定されているらしい。

 道元禅師が修行してた宋の時代の中国では、洗面と入浴は行われていたが歯磨きの習慣はなかったらしく、日本に戻った道元禅師は、修行僧に楊枝で歯を磨く習慣を伝えたという。

 また、日本では歯を磨き口をゆすぐ習慣はあったが、洗面の習慣はなかったらしい。道元禅師は、当時のそれぞれの国になかった習慣を、両方広めようとしたわけだ。

 正法眼蔵の「洗面」の巻に「いまだ洗面せずば、もろもろのつとめ、ともに無礼なり」という言葉がある。

 そこには、「洗面もしないで人と接するのは無礼である。」「浄らかな心身で会う事が礼儀である。」という考え方が底辺にあり、洗面の作法についても事細かく定めているという。

 今まで、顔を洗いながらこのような事は、考えた事もなかったが、古の日本人が様々な行為に対して、深い意味を見出していた事は興味深い。

 

 「洗面」について調べているうちに、今度は「はきものをそろえる」という詩を見つけた。

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  はきものをそろえる
 はきものをそろえると 心もそろう
 心がそろうと はきものもそろう
 ぬぐときに そろえておくと
 はくときに 心がみだれない
 だれかが みだしておいたら
 だまって そろえておいてあげよう
 そうすればきっと
 世界中の人の心も そろうでしょう

 

 この詩は、長野市円福寺の和尚さんだった藤本幸邦(こうほう)さんという方が、50年以上も前に作ったものだ。実は、これも道元禅師の「脚下照顧=足もとをよく見る」という教えをわかりやすく表現したものだそうだ。

 ただ、靴をそろえる習慣があるのは日本人だけらしいので、外国の方には理解しずらいかも知れない💦

 自分が通っているスポーツジムのトイレでも、スリッパの脱ぎ方は様々だが、せめて自分が脱ぐ時だけは、次の人がはきやすいようにしたいものだ。

 

<マイ ギャラリー>

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Do It Yourself!

<My Favourite Songs>

 ひまわり ヘンリー・マンシーニ


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 1970年公開のイタリア、フランス、ソビエト連邦(現ロシア)、アメリカの合作映画。第2次大戦下に生き別れとなったソフィア・ローレンマルチェロ・マストロヤンニの悲愛を、美しいメロディで綴った名作である。自分も、学生時代に名画座あたりで見た記憶があるが、この音楽と無数のヒマワリの映像は、いまだに脳裏に焼き付いている。ロケ地となったヒマワリ畑が、ウクライナの首都キエフから南へ500キロほど行った地にあることで、最近ニュース等でも取り上げられた。